2013年12月に刊行、いまもなお読み継がれている珠玉の対談『生きる。死ぬ。」(ディスカヴァー・トウェンティワン)。
医と禅の達人が語り合った「生きること、死ぬことの意味と価値」とはどんなものなのか?
ここでは書籍の冒頭、「はじめに」の一文を紹介いたします。ご興味の湧いてきた方はぜひ本を手にとって、融通無碍な「不二」(ふに)の世界に漂ってみてはどうでしょうか?
(引用はじめ)
これまでありそうになかった、対談が実現しました。
話し手の一人は、外科医として、長年、ガン医療に携わってきた土橋重隆氏。
先端内視鏡の分野を切り開いたパイオニアとしても知られますが、10年ほど前から新たに心の領域に目を向け、新たに探求をつづけています。
病気と心の関係。――たとえば、現代病と言ってもいいガンには、その人の生き方や生まれ持った性格が深く関わりあっていると、土橋氏は言います。
治すことばかりに主眼が置かれたこれまでの医療では、こうした病気の背後にあるものは無視されてしまうケースがほとんどだったでしょう。病気と心の関係を探る土橋氏は、この分野のパイオニアでもあるのです。
もう一人の話し手は、芥川賞作家にして、臨済宗福聚寺の第35代住職である玄侑宗久氏。
禅僧として修行を積まれ、いまも多くの檀家さんの死に立ち会う日々を送っています。もちろん、作家として、生と死の問題に深く向き合った作品を数多く生み出していることも周知の通りでしょう。
土橋氏は言います。「単に病気が治って良かったで終わらない話がしたい。玄侑先生となら、それができるかもしれない」。これに対して玄侑氏は、「私も先生とじっくり話したいテーマがあるんです……」。
詳しくは本書をお読みいただければと思いますが、話題は病気と心の関係のみならず、ヒトは死んだらどうなるか? 生きることの意味をどうとらえるか? 多岐にわたっています。
生きる。死ぬ。
私たちはなぜ生き、そして死んでいくのでしょう?
これもまた、わかるようでわかっていない、それでいて、誰もが直面せざるをえないテーマにほかなりません。そこに果たして答えはあるのか?
生と死にまつわるこれまでの常識を脇に置き、二人の対談をお楽しみください。
(引用おわり)
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