医療を超えるために(土橋先生からのメッセージ)

いまの医療は現代医療、西洋医学ですね。これを変えるためにはどうしたらいいかという話ですが、一つは患者さん自身が西洋医学のおおざっぱなこと、基本的なことを理解して、これだけでは不十分だということを理解することが必要です。

 

でも、一般の人は、現代医療(西洋医療)がどういうものかということがなかなかわかりません。

病状の説明を聞いてもほとんどわかっていないんじゃないかと、私は感じます。「わかりました。」と、うなずいてはくれるのですが、実際、医者が本当に思っていることが伝わっていないでしょう。

 

それはそうですよね。基本的に知識が違うのですから。医者は6年間の教育を受けて、それから研修して臨床経験を積んでという、そうしたなかで理解してきたことを、30分や1時間で一般の人にわかってもらえるというのは難しいですよね。

 

だから、一般の患者さんは、おおざっぱでいいから西洋医学のいいところと問題点と、こういうところがわかればいいと思います。

でも、医療を変えるためには、それだけじゃだめでしょう。やっぱり医者が変わらなくては、医者が動かなければなりません。

いまのこの体制を変えるためには、現代医療とはどういうものかというところを、医者自身が十分に知る必要があるんですね。

 

ただ、若い先生、卒業して数年の先生でも、何かこれはおかしいぞと直観的に思うことがあると思いますが、それだけで体制を変えるというのは難しいと思います。

現代医療がどういうものかということをとことん経験した医者のなかから、このままではいけない、この体制を変えていこうという動きが出てこないと、何も始まらないと思うのです。

 

西洋医学のいいところと悪いところ……いや、悪いところと言うよりも、不完全なところと言ったほうがいいかもしれません。いまの医療の現実を理解した医師が、この点をアナウンスしていけば、大分変わっていくと思います。

 

最初は小さい集団でも構わないので、こうした医師が徐々に新しい考え方を広めていって、ある程度の数ができれば状況は一気に変わってしまうように思います。

指数関数的に最初はちょっとずつしか変化はないんですけれども、あるところまで行けばグッと大きな変化をもたらす。変化というのはそういうものなんですよね。

 

私自身、卒業して3536年なんですが、新しい医療のすがたがようやくはっきり自覚できるようになりました。

感覚としてはもう十数年前にわかっていたんですが、言葉に表現するというのは難しいんですね。ですから、最初にこういうことをする人間は非常に苦労するわけなんですが、これも時代の大きな流れが医療を変えるという方向にいけば、その医師なりに自分の体験を発信しやすくなると思います。

 

いまの体制を変えるためには、残すべきものは残して、抜本的に変えていかなければならないところは変えていく。

医師と医師以外の方がこういう話をしていくことによって、この二方向からこの医療が変わっていくようになると思いますね。

 

実際、そろそろこういうドラスティックな動きが始まったように感じます。今年、来年、動きがあるように感じます。

来年の今頃、医療に対する考え方がどのようになっているか、特にガン治療は何とかしなきゃならないですよね。

 

お金ばっかりかかって、なかなか治らない。これを30年も40年も同じようなことを続けてきているわけですよね。

そろそろこれに気づいた患者さん、経験のある医師が何か別の方法を模索するという時代に入っていると思いますので、これが表に出てくる時期も、そう遠くはないんじゃないんじゃないかと思います。